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初心者のためのカスタムナイフ講座・ナイフの作り方


カスタムナイフ初心者のかたの為にカスタムナイフを判りやすく解説致します。
ご不明点は何でもご相談下さい。

メニュー ■カスタムナイフって何?
■費用は?
■オーダーするには?お薦めのナイフは?

■ナイフの部分名称
■ナイフの作り方・制作手順
■鋼材・ブレードについて
■ハンドルについて
■シースについて



カスタムナイフって何?

オーダーのハンドメイドナイフです。
大量生産品でお店に並べられて売られているものは、
ファクトリーナイフ。
手作りで作成されたナイフは手作りナイフ。
使い人のニーズに合わせ、その人の為に1から作るのがカスタムナイフ。
NAPIのナイフカタログで売られているのは、
手作りナイフということになります。
しかし、オーダーをいただいて作るのは、カスタムナイフというわけです。


カスタムナイフの作り方

カスタムナイフという言葉が日本で使われだしたのはごく最近です。
戦争が終わり,高度成長時代を迎えた頃、アメリカからこの言葉が渡ってきました。
日本でこの言葉が浸透したのは、「JKG」の設立からです。
カスタムナイフの生みの親であるラブレスが、日本でも普及させるために発足したナイフの団体です。


初心者のお客様にお勧めするのはシースナイフです。折りたたむことはできませんが、
折りたたみナイフはロックを外しにくかったり刃の収まる場所にゴミや砂が溜まりやすいためです。

ナイフを手に取ったら、とりあえず紙を切ってみましょう。新聞広告等で試してみてください。
初めての人はうまく切れないと思います。そのときは次のように試してください。
刃先を上に向け斜めにし、刃の根元を紙に当てて、ゆっくりと下に引きつつ手前に引きます。
サク〜〜〜〜と綺麗に切るのが出来るようになったら、その動作が切れるナイフの動かし方です。
ナイフは引いて切るようにした方が、よく切れます。是非試してください。

ナイフメーカーは、日々新しいナイフのデザインを考えています。
ナイフは「切れればいい」と言うわけではなく、
それらが使われる背景で、いろんな刃のラインが要求されるのです。
また、ハンドルも横から見た形状だけではなく、立体でハンドル周りも考えなければないません。
いいナイフが出来上がって、お客様に賞賛されたときは、本当に嬉しく感じます。
使っていただけるナイフを作り、それを存分に使用していただいてこそ、
ナイフが生きてくるのです。
生みの辛さが、喜びに変わる瞬間です。カスタムナイフを作る醍醐味です。

■費用は?安価なナイフとの違いは?

製作は、注文をいただいてから始めます。
使う状況を考えて、デザインの考案、鋼材・ハンドル材の厳選を行います。
材料が揃えばデザインを板に写すことから始まり,様々な手順で数ヶ月かけて完成させます。
したがって、高価にはなりますが、手にしたとき,使用したときの満足度は抜群です。

安価なナイフは、やはり安価な鋼材やハンドル材を使用しています。
刃持ちも悪く、錆びも出るかもしれません。

NAPIでのオーダーの場合,もし比較的手頃な鋼材・ハンドル材を使用する場合は
4万円〜5万円程度です。
価格はサイズ,使う鋼材,ハンドル材で左右します。
お客様にお薦めできる,予め出来上がったデザインのもの(完成品現品,セミオーダー)は
時間も費用も節約されます。

■カスタムナイフをオーダーするには?オーダーの際に考えること

まず
ナイフをどのような使い方をするか・どのような場面で使用するかをお考え下さい。
使用するときに必要な大きさ(長さ)を考えてください。
使用するときに必要な刃のラインを考えてください。
使用するときに持つハンドルの形状を考えてください。

例えば最初の一本でキャンプや、釣り、身近なところでオールマイティーに使いたい,
そう思われる初心者の方にお薦めするのは、なんと言ってもセミスキナーです。
3インチセミスキナーがあれば、大体のことはこなせます。
「こなす」と言うのはナイフを使う人が、頭を使って使いこなすということです。
(セミスキナーといえども万能ではないからです。)
セミスキナーのデザインは、どこにも直線がありません。
緩やかな曲線と、カーブで構成されています。


ラブレスセミスキナーです
お薦め
3インチセミスキナー
鋼材 ATS34
ハンドル材 マイカルタ

オーダーをいただいてから仕上がるまで、約半年待っていただいています。
オーダーナイフは独立して作業をしていくため、流れ作業にはなりません。
1本1本心を込めて妥協しないで作ります。

高価な買い物になりますので、無理しての購入はおすすめしません。
切れる刃物ですので、ご家族がいらっしゃればご理解を頂いてからのご注文をお願い致します。

特に初めてのご注文ではいろんな悩みが出て来ることと思います。
お気軽にメール、電話でご相談下さい。
予算、使う目的、大きさ等、必要事項を細かく話し合い、アドバイスさせて頂きます。

具体的なオーダーの方法は「カスタムナイフオーダー」のページをご覧下さい。



■ナイフの名称
ナイフの名称


シース


   

■カスタムナイフ制作の具体的な手順
【材料】
・鋼材
・ハンドル材
・ヒルト材
・ボルト
・ソングホールパイプ
・牛革
・2液混合エポキシ接着剤
・瞬間接着剤
・革用接着剤
・糸
・エンドレスペーパー
【手順】
  
デザインされた絵と同じパターンをアクリル板で作ります。
アクリル板を鋼材に当てて、アクリル板の周りをチェックします。
チェックに従い鋼材をナイフの形に切り出します。





   
ボルト穴、ソングホールパイプ穴、冶具固定用の穴をあけます。





   
鋼材を平面研磨します。
ハンドル部分を機械(バーキング)でテーパー状態に削ります。(フルテーパードタング)





 
ヒルトが入る溝を掘ります。
ヒルトをナイフに取り付けるためのピン穴も開けます。
ヒルトを機械(フライス盤)で作ります。





                        
ブレード面を機械(バーキング)で削ります。(ホローグラインド)




【ナイフを焼入れに出します。(業者で狂いのない最良の硬度に焼入れをしていただいています)】




   
   
ナイフのブレード面を機械(バーキング)で荒いペーパーの
#60から#120#220#400#600と細かいペーパーで削っていきます。
耐水ペーパーで#600#800#1000と手作業の後、ヘアーラインならここで完成させます。





 
ヒルトをナイフにピンで固定し、2液混合エポキシ接着剤で隙間をなくします。





  
ハンドル材を瞬間接着剤で固定します。
ボルト穴を開けます。ボルトで固定します。
ソングホールパイプをいれ、瞬間接着剤で固定します。





ナイフを機械(バーキング)で荒いペーパーの
#60から#120#220#400#600#800と細かいペーパーで削っていきます。
最後はバフにて磨きをかけます。
名前を腐蝕により、ブレード面に入れます。
ブレードに刃をつけます。
牛革で、ナイフにぴったりと合ったシースを制作して,完成です。





■鋼材・ブレードについて
本来、使用する目的により鋼材を選ぶのですが、初心者などが初めに使用するなら;ATS34
あまり使わず、メンテナンスも面倒くさいと言いうかたには;440C,クロム7 がおすすめです。

【ブレードの形】
ナイフのブレードには色々な形があります。以下は良く作られる形です。




【セミスキナー】
 スキナー(皮剥ぎ)と、ドロップポイント(肉処理)とが一体となったデザインです。
 刃元の緩いカーブから始まり、先端に向かってカーブし、
 先端は鋭くなっています。どんなシーンでも使いやすい形です。

【ドロップ】

 獲物の解体作業で、中心として使うナイフの形です。
 峰が先端に向かって下がっています(ドロップしています)
 ナイフを逆さまに持って、皮を剥ぐとき、刃先が内臓に向かないようになっています。

【スキナー】
 皮を剥ぐときに使う代表的なナイフです。


【ケーパー】
 ブレードは直線的ですがポイントが鋭く、細かい作業に向きます。
 鳥の頭部を解体するような細かい作業に向きます

【ストレート】
 魚をさばくのに適した柳場包丁のような形状です。
 木工作業をするのにも適しています。

【ガットフック】
 
峰の部分に作られたフックで、皮を切り裂きます。
 作成するのに特殊な技術が必要であるため、あまり作成されないタイプです。
 見た目の綺麗さと、珍しさで人気があり、また、作成技術の熟練度が試される形です。

【ボウィ】

 西部開拓時代のサバイバルナイフです。
 現在、日本では使用されるフィールドがないため実用性はありません。
 作成にはブレードのフラットな平面、ハンドル周りの技術的な加工など、
 高度な技術が必要とされます。
 デコレーションして、アート的に作成もされる事が多いです。

【フィレ】
 魚を捌く専門的なナイフです。日本で言えば、刺身包丁です。
 肉を薄き切り分けるときにも使用します。
 エッジに「ストレート」な部分を多くとり、先端に向かってカーブしています。

【ブッシュ】
 枝や、草を払い切る目的で使います。雑木林の中を歩くときなどに重宝します。


【ブレードの断面】

ナイフには切れる要素、強度の問題などから、刃(ブレード)の作り方が違ってきます。
日本刀は一般的に知られているように、日本刀の断面図は砲弾型になっています。
カスタムで作られる殆どのナイフは、断面図で見てみると、砲弾型とは逆で、
イチョウの葉のような形に削っています。
以下に、3種類の刃の作り方を紹介します。

@峰から刃先に向かって、えぐれた様になっている【フォローグラインド】
ブレード面はフォロー(えぐれた面)になっています。
ブルドーザーの前に突き出している部分の面といえば分かりますか・・。
カスタムナイフの殆どは、この作り方で作成されています。
回るフォイールに鋼材を押し付けて加工するため、えぐれた様に加工されます。
峰の厚さが保てるため、強度があります。

A峰から刃先に向かって、直線の面で構成されます。【フラットグラインド】
ブレード面は平面です。磨き上げれば、鏡のようになります。
包丁や厚さの薄い鋼材はフラットな面で仕上げます。強度は劣ります。

B峰からエッジに向かって、膨らんだ【コンベックスグラインド】
断面図ではハマグリの様に膨らんで見えるため、ハマグリ刃とも言われます。
日本刀に良く見られる削り方で、鉈のように強度が必要なナイフに使われます。
ダマスカス鋼の模様を綺麗に出すため、このような削り方をすることもあります。



■ハンドル構造・ハンドル材について
【ハンドル構造】
私が作成するハンドル構造は以下のものです。

【フルテーバードタング】
 ハンドル後部に向かって薄くすることにより、重量バランスが取れます。
 バランスはナイフの大小によって変わりますが、
 普通サイズでは中央あたりでバランスが取れるのが良いと思います。


【ナロータング】

 ハンドル材に刺し込む仕上げのため、鋼材が露出せず、
 錆が発生しません。また、重量バランスもとりやすいです。


【ラップドタング】

 大き目のナイフやアートナイフで使用します。


【コンシールドタング】

 滅多に作成しませんが、これも鋼材が露出しないため、
 錆を防げます。

【ハンドル材】

ハンドル材として適切なものは、
・経年変化や薬剤変化しない。
・硬い。
・湿気を吸収しない。
・滑りにくい。
・軽い。
このようなものが良いとされています。
NAPIでは基本的にはマイカルタを使い、ご希望でスタッグ、マンモス、ウッド等を使います。
がんがん使っていただくには、本当に強い素材の方が長持ちしますし、安心できます。




【マイカルタ】
一般には絶縁基板用素材として利用されているものです。
木綿やキャンバス地にフェノール樹脂をしみ込ませ、積層に加熱成型します。
木綿からリネンマイカルタ
キャンバス地からキャンバスマイカルタ
紙からペーパーマイカルタあるいはアイボリーマイカルタ
また、薄い木の板を積層に加圧成型したウッドマイカルタがあります。
強度は強い順に、キャンパスマイカルタ、リネンマイカルタ、
ウッドマイカルタ、ペーパーマイカルタです。
また、それぞれ、色がつけていて、タン、グリーン、ブラック等種類があります。
すべてのナイフに使える優秀な素材です。




【スタッグ】
インド産、サンバースタッグ。
馬ほどもある大きさの大鹿の角で、現物は日本の鹿の角など比べ物にならないほど
大きいものです。
ここ数年、インド政府が神の使いである鹿の角を輸出しておらず、
世界的に品薄になり,価格が上がっています。
スタッグは、表面のデコボコを表面に残すように加工し、
滑りにくいハンドルが希望のときに使います。
天然の素材のため、同じ模様はありません。
しかし、同じ模様のが2本とないから、なおさら所有する喜びも生まれますね。
天然な物なのに、経年変化が少なく、堅牢であり、滑りにくいと、
良いことずくめです。
狩猟用のナイフや、できるだけハンドルが滑らないようなナイフを
お求めの方にはお勧めです。






【マンモス】
昔々の生き物のマストドンマンモス。
半化石と呼ばれますが、とても柔らかい素材です。
何万年も前に息絶えたその牙が、永久凍土の中で徐々に土の色が染込み、
色が染まって出来上がった物です。
とても繊細で、保存方法によっては割れたりしてしまいます。
しかし、ナイフのハンドルに加工された時、その色合いはとても綺麗で、
マンモスのハンドルのナイフだけをコレクションしている人もいるくらいです。
実用主義の人にはお勧めしません。


【ウッド】
私が使うウッドは、デザートアイアンウッドのみです。
削っていて、この素材だけがとても硬いのです。
少々硬いものにぶつけても、へこんだりしません。
ウッドは年輪の模様を楽しみます。値が張るのは、
普通の年輪じゃないものです。
加工後のウッドは、艶がよく、明るい色をしていますが、
経年変化で色が黒くなってきます。
また表面も艶がなくなったりします。マイカルタ同様、
どんなナイフにもつけることができます。




■シースについて
 【牛革シース】

定番シースです。
強度を保つために厚いサイズの牛皮を使います。
ナイフの大きさや、種類に合わせて数サイズの皮を用意しています。すべて手縫いです。

店頭で売られている安価なシースナイフのシースの中には薄い皮でできていて柔らかいものもあります。
シースは人間をナイフから守ってくれるものです。
柔らかいようでは、ナイフを収めようとした時、誤ってシースを突き破って足を刺すこともあります。
シースにナイフを入れたまま転んだとき、ナイフの刃先がシースを突き破ったりします。

シースはナイフの一部と考え、堅牢で頑丈に作るべきです。
また,抜け落ちないように、そのナイフがきっちり,ぴったりと収まるシースであることが大切です。


牛革シースの作り方
      
牛革を用意します。
本体は4ミリ、または3.5ミリ
刃のあたる部分に革(5ミリ)を挟みます。
本体をベルトを通す部分を考慮して切り出します。
折り目をつけるため、溝を掘ります。

    
ベルトループを縫い付けます。
ナイフを挟んでみて、刃のあたる革を接着する場所を決めます。
糊付けして挟みます。

    
糸の穴を開けて縫います。
水に濡らして乾かします。
その途中、ナイフを入れてナイフの形に馴染ませます。

    

    
乾いたら、革を縫い合わせたところを削って磨きます。
焦げ茶色の色を塗ります。
水が染み込まないように薬品を塗ります。
革に保湿用のオイルを塗って完成です。



 【メタルシース】

メタルシースは定番ではありませんが、昔からよく作られていたシースの一つです。
式典用の軍用ナイフや、装飾されたサーベルなどに使われているシースです。
金具を使うことで、革より装飾が施しやすいからだと思います。

素材は
シルバー
ニッケルシルバー
真鍮

等の金属が主に使われます。

また、これらの金属と革を木の鞘に巻きつけて作るシースもあります。
(この場合はメタルシースとは言いません。)
Will&Frinckが作るサンフランシスコダガーナイフに付属するメタルシースは、ナイフとシースが固定式のものや、
ベルトクリップがネジによってベルトに固定できるようになっているものがあります。
これらの古い作り込みも私の作るシースでは再現しています



 シルバーシースの作り方
  
925シルバー(スターリングシルバー)を使います。
シルバーの中では磨くと一番光ります。
磨けば星のようなリングが出るほど光るということでスターリングシルーバーと呼ばれる925シルバーです。
厚さは0.8ミリ。
作るナイフと同じ形の分厚い鉄を2つ用意します。
片方は出来上がりをイメージして丸みをつけます。
その鉄にシルバーを万力で挟みます。

    
金槌で叩きます。丸みを出します。二つ作ります。
平面を出して2つを合わせて銀ローで溶接します。
磨いて出来上がりです。